美馬の地はご存知のように、真ん中に吉野川を挟んで、大きく南北に伸びた場所にあります。
川の北側は瀬戸内海を臨む讃岐山脈に接し、南側は急峻な山々が連なる四国山脈を背後に、四方を山々に囲まれ、自然豊かな景観を有する土地となっています。
こうした地理的特性により、美馬は昔から交通の要所、交易の地として経済的に栄えてきただけでなく、歴史的にも文化的にも、他の地域にはないような特徴ある発展を経てきました。
近いところでは、暴れ川とも言われた吉野川の氾濫を生かし、連作が難しい藍の栽培と藍染の加工技術を確立、高品質の藍染原料や最終製品を全国に向けて出荷する産業体制の構築に成功しました。
うだつの町並みは、藍商として財を成した商家の建築物が現存し、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
また、2019年に認定された日本遺産「藍のふるさと阿波」の構成文化財13か所のうち4か所が美馬市内にあり、豊かな歴史遺産に恵まれていることがわかります。
少し前の時代には、戦国時代の最中にあって、吉野川と内海の水運(軍事力)を活かして、近畿中央の覇権を治めた三好一族が美馬に脇城や岩倉城等の城郭を整備、その後、秀吉から阿波西部の守護を任された稲田氏がこの地を本拠地とするなど、政治的にも重要な役割を果たしてきました。
そして、信仰篤い土地の人々の心を支える場所として、平安・鎌倉時代から多くの名だたる寺社が創建され、今日まで大事なお務めを果たされるとともに、寺町文化の維持に貢献されてきました。
さらに、時をさかのぼると、日本国がまだなく、邑(ムラ)がクニと言われていた時代に、すでにこの地に暮らす人々がいて、厳しくも豊かな自然に囲まれて土地の精霊や神々と対話するような長閑な生活を送っていたことが想像されます。
美馬はこのように時代を超えて存在してきた土地で、先進性と精神性の豊かさを感じ取れる稀有なエリアであり続けてきました。
このような素晴らしい場所で、人々がアートを合言葉に集い、語らい、謡い、感動を分かち合える場と機会を提供していく「美馬アートフェスティバル」なるイベントを、毎年11月下旬頃にこの地で開催していく企画をこのたび発表させていただくことになりました。
何卒、趣旨ご賛同いただき、ご支援ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。